夏が加速しても、自分の歩幅でいていい

七月に入る頃になると、街の空気が少しずつ変わっていくようです。

夏休みの予定を立てる人。
新しい挑戦を始める人。
旅行やイベントの話題で盛り上がる人。

SNSを開けば、誰かの充実した日常が流れ込み、世の中全体が前へ前へと進んでいるように見えることがあります。

そんな景色を眺めながら、なぜか心の奥がざわつくことはないでしょうか。

本当は焦る理由などないはずなのに、取り残されているような感覚だけが残る。

やりたいことがないわけではない。
動けないわけでもない。

けれど、どこか身体が重く感じたり、心がついてこなかったりする。

そして、その状態に対してさらに焦ってしまう。

「もっと頑張らなければ」
「このままではいけないのかもしれない」

そんな声が、いつの間にか自分の中から聞こえてくることがあります。

けれど、その声は本当に自分の声なのでしょうか。

もしかすると、それは周囲のスピードに触れ続ける中で、自分でも気づかないうちに取り込んだ空気なのかもしれません。

私たちは知らず知らずのうちに、周りの流れを感じながら生きています。

誰かが走れば、自分も走らなければならないような気がする。

誰かが成果を出せば、自分も結果を出さなければいけないような気がする。

誰かが輝いて見えれば、自分には何かが足りないような気がしてしまう。

けれど、本来エネルギーの流れ方は人によって違います。

春に芽吹く植物もあれば、夏になってようやく動き出す植物もあります。

表面上は何も変化していないように見えても、土の中では静かに根を張り続けているものもあります。

どちらが優れているという話ではありません。

ただ、それぞれに流れている時間が違うだけです。

レイキの学びの中では、エネルギーは常に循環していると考えます。

動いている時だけが流れているのではありません。

立ち止まっているように見える時も、眠っているように見える時も、内側では必要な調整が続いています。

私たちはつい、目に見える変化ばかりを成長だと思ってしまいます。

けれど、本当に大きな変化は、外からは見えない場所で起きていることも少なくありません。

人と会うことが減った時期。

何もしたくなくなった時期。

一人で過ごす時間が増えた時期。

振り返ってみると、その頃に自分の価値観が少しずつ変わっていたという人もいるようです。

当時は停滞だと思っていた時間が、後になって大切な準備期間だったと気づくこともあります。

だから今、もし思うように動けない自分がいたとしても、そのことだけで何かが遅れているとは限りません。

身体には身体のリズムがあります。

心には心の季節があります。

誰かの夏と、自分の夏は同じではありません。

それなのに私たちは、同じ速度で進もうとしてしまいます。

同じ場所を目指しているわけでもないのに、同じ歩幅で歩こうとしてしまいます。

すると、どこかで無理が生まれます。

身体が疲れたり、気持ちが沈んだりすることもあります。

それは弱さではなく、自分のリズムを教えてくれているサインなのかもしれません。

本当は、周囲が走っている時に歩いていてもいい。

周囲が歩いている時に休んでいてもいい。

周囲が休んでいる時に動きたくなることもある。

その自由さを忘れてしまうと、人生は少し窮屈になります。

夏の強い光は、時に私たちの心を急かします。

もっと楽しもう。
もっと充実させよう。
もっと何かを成し遂げよう。

そんな声が聞こえてくることもあるでしょう。

けれど、光が強いほど影も濃くなります。

誰かの眩しさを見て、自分の影ばかりが気になる日もあるかもしれません。

そんな時は、無理に前を向こうとしなくてもいいのかもしれません。

無理に元気になろうとしなくてもいいのかもしれません。

ただ今の自分が感じていることを、そのまま眺めてみる。

焦りがあるなら、焦りがあることを。

疲れがあるなら、疲れがあることを。

寂しさがあるなら、寂しさがあることを。

良い悪いを決めずに見つめてみる。

すると少しずつ、自分自身の呼吸が聞こえてくることがあります。

周囲の音ではなく、自分の音。

周囲のスピードではなく、自分の歩幅。

その感覚はとても静かなので、急いでいる時には聞こえません。

だからこそ、立ち止まる時間にも意味があるのかもしれません。

誰かと比べなくていいと言われても、比べてしまう日もあるでしょう。

焦らなくていいと言われても、焦ってしまう日もあるでしょう。

それもまた自然なことなのだと思います。

人は揺れながら、自分の中心へ戻っていくものなのかもしれません。

今はまだ、自分の歩幅がわからなくても大丈夫です。

夏がどれだけ加速しているように見えても、その流れに合わせる必要はありません。

あなたの中には、あなたにしかわからない季節があります。

そしてその季節は、誰かの評価やスケジュールとは関係なく、静かに巡っています。

窓の外で夏の風が揺れているように。

雲がゆっくり形を変えていくように。

今日という時間もまた、あなたの速度で流れているのかもしれません。

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