理由はうまく説明できないけれど、なぜか心が重くなる。
その人と会う約束をしたあと、少しだけ気が進まなくなる。
本当は喜ぶべきことなのに、胸の奥がざわつく。
そんな小さな違和感を覚えることがあります。
けれど私たちは、その感覚をすぐに打ち消してしまいがちです。
考えすぎだろう。
せっかくの機会なのだから。
相手に悪く思われたくない。
そうして違和感よりも、常識や期待を優先します。
もちろん、違和感があるからといって、すべてを避ける必要はありません。
緊張しているだけのこともあります。
新しいことに挑戦する前の不安かもしれません。
ただ、何度も同じ場所で心が重くなるなら、そこにはまだ言葉になっていない本音が隠れているのかもしれません。
本音は、いつもはっきりした言葉で現れるわけではありません。
嫌だ。
やめたい。
離れたい。
そう言い切れる前に、身体のこわばりや、ため息や、何となく元気がなくなる感覚として届くことがあります。
とくに、周囲に合わせることを大切にしてきた人は、自分の本音より先に相手の都合を考えます。
これを断ったら困らせるかもしれない。
期待に応えられなかったら申し訳ない。
自分さえ我慢すれば、うまくいく。
その積み重ねによって、自分が何を望んでいるのか分からなくなることがあります。
けれど、分からなくなった本音が消えたわけではありません。
心の奥で、小さな違和感として待っています。
違和感に気づいたとき、すぐに結論を出さなくても大丈夫です。
まずは、その感覚を否定せずに置いておく。
私は今、何に引っかかっているのだろう。
本当は何が不安なのだろう。
もし誰にも気を遣わなくてよいなら、どうしたいだろう。
そんな問いを、静かに自分へ向けてみてください。
答えが「行きたくない」だったとしても、すぐに行動へ移す必要はありません。
なぜ行きたくないのか。
疲れているからなのか。
相手との関係に無理があるのか。
自分の時間を守りたいのか。
本音の奥には、さらに大切な願いがあります。
安心したい。
尊重されたい。
一人で静かに過ごしたい。
自分の速さで進みたい。
その願いが見えてくると、ただ我慢するか、すべてを投げ出すかという二つだけではなくなります。
時間を短くしてもらう。
少し考える時間をもらう。
今は難しいと伝える。
自分と相手のどちらも大切にする方法が、少しずつ見つかることもあります。
本音を大切にすることは、自分の気持ちを何でも押し通すことではありません。
自分の内側に起きていることを、無かったことにしないということです。
違和感を無視し続けると、心はもっと大きな声を出そうとします。
急に動けなくなったり、強い疲れや怒りとして現れたりすることもあります。
だからこそ、小さな段階で気づいてあげることが大切なのかもしれません。
今日、少し気になった言葉。
会ったあとに残った疲れ。
なぜか胸が沈んだ瞬間。
それらを、正しいか間違っているかで判断せず、心から届いた一通の手紙のように受け取ってみる。
すぐには読めなくても構いません。
静かな時間の中で、少しずつ意味が見えてくることがあります。
あなたの本音は、あなたをわがままにするためにあるのではありません。
あなたが自分を置き去りにせず、生きていくためにあります。
小さな違和感を感じた日は、急いで消そうとせず、少しだけ立ち止まってみてください。
その奥には、今のあなたが本当に守りたいものが、静かに隠れているのかもしれません。

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